クマやろう

 

リラックマ?のぬいぐるみを股に挟んで寝ている。アラサーの男子がやることかと思うがそうでもしないと寝れない。

ぬいぐるみの正しい使い方をしているとは思えないがそれでも私の中では友達以上恋人未満の関係かもしれない。

 

そんなリラックマがカラスに襲われ亡くなった。

 

肌寒くなりTシャツ1枚では外に出れないくらいの時期だった。いつも通り昼過ぎに散歩に出かけようと玄関まで来た時だった。

タバコを忘れたと思い部屋に戻りあちこち探しまわっている最中、リラックマはつぶらな瞳で見つめていた。

そういえば長い付き合いだが一度も外に出させたことなかったな。

そう思い、いつもの散歩コースに一緒に連れて行くことにした。

 

道中ではいろんなことを話した。最近彼女との電話が長すぎて迷惑だということ、エロ動画がいつも一緒でつまらないとこと、何より股がくせーこと。

久しぶりに外に出たせいかやけに饒舌だと思ったがそれほど外の空気を吸うのが嬉しかったのだろう。そんな嬉しそうに話しているのを見てもっと早く外に出してやればよかったと後悔した。

 

別れは突然訪れた。日銀の政策金利について論争を繰り広げていた時だった。空中からそれはそれはとてつもなく早いスピードで黒い物体が飛んできた。

最初は北朝鮮からのプレゼントだと思い友人の阿部君と稲田ちゃんにLINEしようとしたがあまりの衝撃で気が動転してしまい小池ちゃんにLINEしてしまった。

 

携帯の画面ばかりに気をとられてしまい隣のリラックマを気にかけるのを忘れてしまっていた。違う。たぶん大丈夫だと思ってしまった。

 

リラックマは心臓をやられ無残な姿になっていた。

私は急いで病院に駆け込んだ。先生には「よくわからないけど捨てるしかない」

と言われた。捨てる?何を言っているんだ。自分の家族が同じような目にあった時同じこと言えるのか。

 

結局傷だらけのリラックマを車に乗せ家に着いた。

最後に交わした言葉がデフレの三文字だった。きっと自分の死を予感していたのかもしれない。

 

私は悲しみにくれた。酒を浴びるほど飲み浴びるほど股をスリスリした。

もう股には誰もいないのだ。

現実を受け止めるのは難しい。しかし、現実を受け止め進むことも時には必要になってくるのだ。

 

そんなことがあったせいで暫くこの記事が止まっていた。

また今日から新たに始める。天国のリラックマも言っていた。

「誰も見てないブログ書いて楽しいか」

そうかもしれない。でも知っている。お前は毎日俺の股で俺のスマホを勝手に漁り見ていたこと。

一人ってお前のことだもんな。わかっているよ。

また書くから見ててくれな。さようなら。クマやろう。